2024.5.12 の週報掲載の説教
<2024年3月17日説教から>
『来なさい。そうすれば分かる』
ヨハネによる福音書1章35節~42節
牧 師 鈴木美津子
洗礼者ヨハネの証言を聞いて、イエス様に従って行ったのは、ヨハネの二人の弟子であった。一人はペトロの兄弟アンデレ、もう一人の名前は具体的には記されていない。
彼らが従って来るのを見て、イエス様は振り返り、「何を求めているのか」と声をかけられた。この「何を求めているのか」という問いかけが、この福音書が記すイエス様の発せられた最初の言葉である。「何を求めているのか」というイエス様の問いに対して、「ラビ、どこに泊っておられるのですか」と、アンドレともう一人の弟子は、イエス様が宿泊している場所がどこなのか、その答えを求める。この「どこに泊っているか」という質問は、「あなたが何を教えてくださるのか、あなたの教えを求めている。一緒に過ごしたい。」という意味がある。また同時この言葉には、「あなたは何者なのか。あなたはどこから来てどこへ行く人なのか、そして今はどこで過ごしているのか」という意味もある。そのようなことでは、ここでは「泊る」という言葉が単に宿泊のことではなく、実は、イエス様の内に信仰的に「留まる、繋がる」ということを表しているとも言えるのである。なぜなら、この「泊る」と訳されている言葉は、この福音書の中では、後に、イエス様の愛のうちに「とどまる」という、この福音書にとって重要な用語として登場するからである。
イエス様は、弟子たちの問いに答えて、「来なさい。そうすれば分かる」と答えられた。「よろしい、私に従って来なさい、教えてあげよう」、と言われたのである。イエス様のもとに行き、イエス様のもとに留まる、そうすればあなたの求めているものがなんであれ、それは必ず得られる、必ず分かると言うことである。この言葉から二人は入門を許された、と考えることが出来る。
さて、洗礼者ヨハネの証しは、自分の弟子たちの中から二人をイエス様へと結びつける事になった。しかし、この話はこれで終わらないのである。ヨハネの証言を聞いてイエス様に従い、イエス様のもとに留まった弟子のひとりであるアンデレは、今度は、自分の兄弟にイエス様を証しすることになるのである。